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トラックドライバーの休憩や休日の取り方・ルールを徹底解説

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トラックドライバーは過酷で、「ろくに休憩も取れない」「休日が少ない」といったイメージを抱かれがちです。では実際にトラックドライバーはきちんと休日や休憩を取れているのか、細かく解説していきます。

トラックドライバーの休憩時間のルール

拘束時間は1日13時間取る

トラックドライバーの労働時間や拘束時間(運転時間+休憩時間)が長いことは、長年問題視されてきました。

そのため、厚生労働省が令和4年に「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」、通称「改善基準」を定めています。こちらの基準は令和6年4月1日から適用される予定です。

そちらの基準によると、トラックドライバーの拘束時間は1日13時間までとされています。

15時間以上の拘束は週2回までであり労働時間、拘束時間の上限は16時間までです。

また、1ヶ月の拘束時間は293時間までですが、労使協定を結べば最大320時間まで拡大が可能です。

さらに、年間の拘束時間のトータルは3516時間を超えてはいけないというルールもあります。

休憩は4時間毎に30分以上取る

休憩時間は4時間ごとに30分以上取ることになっており、通称「430休憩」と言われています。

つまり、原則としてトラックドライバーは4時間以上連続して運転してはいけません。

ただし、4時間の間に合計30分以上の休憩時間を分割して取得すれば、合計4時間以上の運転は可能です。

拘束時間内の運転時間は2日間で18時間以内

拘束時間(運転時間+休憩時間)内での運転時間は、2日間で18時間以内と決められています。

つまり、どれだけ拘束時間が長くなるとしても、運転時間は18時間以内に納め、超過分は休憩や雑務などに充てられます。

関連記事:ドライバーの労働時間は働き方改革でどう変わった?ルールを解説

トラックドライバーの休憩時間に関してよくある質問

こちらではトラックドライバーの休憩時間に関してよくある質問に回答します。

労働時間と休憩時間の境目は?

トラックドライバーは労働時間と休憩時間の境目が曖昧になりがちです。

例えば、荷物を運ぶ実働を命じられていて、駐車して待機をする必要がある場合、その時間は休憩時間ではなく労働時間となります。

同様に、荷物の積み込みや到着のために長時間の待機が必要な場合も、連絡が入ったらすぐに応じなければならないのであれば、労働時間になります。

一方、次の運送や積載の予定まで何も作業がなく、呼び出しのために待機する必要がない場合、それは休憩時間です。

夜間業務中の仮眠時間は休憩に含まれる?

トラックドライバーは夜間業務中に仮眠時間を取ることがあります。

仮眠時間が休憩時間かと労働時間のどちらに該当するかと言えば、それは拘束の有無次第です。

例えば、仮眠中にいつでも呼び出しに応じることを義務づけられている場合は労働時間となります。

逆に、呼び出しに応じる義務がなく仮眠時間を取っている場合は、休憩時間とみなされます。

そのため、呼び出しに応じる義務がある状態で仮眠を取っているのに、休憩時間扱いとなっている場合は、賃金の未払いが発生している状態ということです。

休息期間と休日の違いって?

休息期間と休日は似たような印象を受けがちですが、意味が異なります。

まず、休息期間は労働者が生活するプライベートな時間を指し、原則として1日に8時間以上取らなければなりません。分割して取ることができず、8時間連続で取る必要があります。

そして、休日は「休息期間よりもさらに長い休み」として定義されており、「休息期間+24時間」と決められています。

さらに、休日はいかなる時も30時間未満になってはいけない決まりです。

例えば、24時間の休みをもらった場合、30時間未満であるため休日ではなく休息期間とみなされます。

2024年問題とは何?

ここ数年物流業界で話題に上がっているのが「2024年問題」です。

働き方改革に関連した時間外労働に関する上限規制が本格的に施行されるのが2024年であり、それによって物流業界の現場で多くの問題が発生することからそう呼ばれています。

例えば、残業代を稼ぐために自主的に長時間労働をしていたドライバーが、時間外労働の上限規制によって収入が大幅に減ってしまうなどです。

他にも、時間外労働の上限規制によってドライバー1人当たりの稼働時間が減るため、人手不足に拍車がかかることも懸念されています。

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トラックドライバーの休日ルール

休日は法律上で会社が社員に与える義務のある休日(法定休日)と法律上の義務ではなく、会社が社員に与える休日の2種類あります。

会社が与える休日は会社によってルールが異なるため、今回は法律上の休日ルールについて解説します。

法律上における休日とは

トラックドライバーにおいて、休日とは「休息期間+休日」で考えなくてはいけないルールがあります。

上記で紹介した通り休息期間は8時間以上と定められており、休日は24時間となっていますので、トラックドライバーの休日は合計32時間以上の連続した時間が必要となります。

これは改善基準でも定められているので、これを下回る場合、休息期間とみなされ法律違反になる可能性もあります。

休日の回数について

法定休日における休日の回数は「1週に1回もしくは4週に4回ある最低限の休み」と定められています。

法定休日は週のどこに入れてもいいので、平日休むにところもあれば土日のどちらかに休みを入れる企業もあります。週休2日の会社はもう1日の休日を法定外休日としています。

休日出勤のルール

法律では週に1回以上は休日を取らないといけないと義務付けられていますが、人手不足の会社や繁忙期のシーズンではどうしても休日出勤を行わないといけない場合があります。

その場合、会社と社員との間で時間外労働協定(36協定)を結んでおけば休日出勤を行うことが可能になります。しかし休日出勤は2週間に1度までと法律で定められているので、それを超えた場合は法律違反になる可能性があります。

休日出勤をした場合の給料の割増率ですが、法定休日と法定外休日で割増率が変わります。

法定休日は「1.35」と定められていますが、法定外休日は「1.00」もしくは「1.25」となり、会社によって異なるので会社に問い合わせるか、就業規則を確認するようにしてください。

トラックドライバーの有給休暇ルール

トラックドライバーも一般的な会社員と同様、有給休暇を取得することができます。
有給休暇の日数は以下の通りです。

勤続年数有給休暇の付与年数
6カ月10日
1年6カ月11日
2年6カ月12日
3年6カ月14日
4年6カ月16日
5年6カ月18日
6年6カ月20日

一般的な会社員は週休2日制のところが多い中、トラックドライバーの休日はトラックのサイズによっても異なってきます。詳しく解説していきましょう。

大型トラックドライバーの休日

大型トラックドライバーですが、昨今免許制度が変わり、中型免許や準中型免許が登場したことで大型免許取得のハードルが上がってしまい、慢性的な人手不足に陥っていることもあって休日を満足に取れない企業もあります。

また、配送先が長距離になることもあるのでその場合、最悪1週間以上帰って来れない場合もあります。

一般的な大型トラックの休日は日曜日の週1回が多いです。

しかし、中距離まで配達を行っている企業は日帰りで帰ってこれることもあり週2回休日を与えているところもあります。

大型トラックの中にはタンクローリーを運転する職種もあります。

ガソリンやガスなどの危険物や牛乳や小麦粉など食品を運ぶタンクローリーですが、配達先が大手でルートが決まっていることもあってか、労働時間が整っていたり休日が週2回取れるなどしっかりした労働環境を与えているところが多いです。

中型トラックドライバーの休日

中型トラックはトラック業界の中で一番多く、利用される現場も一番多いため求人形態もさまざまです。

例えば近県の配達であれば日帰りで帰ってこれるため、休日の設定も行いやすく、週1〜2回も休みを取れるところが多いです。

しかし、長距離配送の場合、休日の回数が不安定で週に1回取れない場合もあります。中型トラックは運送業界で主力になっているので、その分求人の件数も多いため、自分の希望に合う会社を選びやすい特徴があります。

小型トラックドライバーの休日

小型トラックの配達は主に小型の荷物でネット注文の配達などが多いため、労働時間も決まっており、休日も週2回取れる会社が多いです。

企業宛の荷物を送る会社は企業が土日休みなので、運転手も土日休日を取ることができ、子どもがいる方や週末休みたい方はそういった会社が選ばれる傾向があります。

日中の運行で日帰りで帰ってこれる場合

一般的な会社員と同じように自分の趣味や家族と過ごす方が多いようです。

疲れている場合は寝て過ごすといった休日を送ることもできたりと基本的に自分の好きなように休日を楽しむ人が多いです。

連休などとれる人は旅行に行ったりもできるので充実した休日を送ることが可能です。

GWやお盆、年末年始に休暇は取れるのか?

やっぱりGWやお盆、年末年始はゆっくり休みたいとこですよね。これに関してはトラック業界でも大手や中小企業、荷物の配送先で休日が取れるか変わってきます。

大手企業は人材も豊富なため、シフト制で休日を取れる可能性もありますし、交代で大型連休を取れることもできます。しかし中小企業の場合は人手不足のところが多く、あまり休日を取れない場合が多いです。

荷物の配送先が企業や大型連休時に稼働しない会社である場合、運送会社も同じように休日を設けるのでゆっくり休むことができます。

現状必ず休める保証のあるところは多くありませんが、今は家族との時間を設けたいといった人も多くいるため、人材確保の意味も込めて大型連休を取れる会社も増えてきています。

関連記事:

知らないと損。トラック運転手の労働時間や給与・残業代の真実

車両別・トラックドライバーの仕事内容

トラックドライバーの仕事内容はトラックのサイズ(小型、中型、大型)や運ぶ距離(近距離、中距離、遠距離)によって変わってきます。同じように拘束時間や休日なども異なります。詳しく解説していきましょう。

近距離トラックドライバー

近距離トラックドライバーの場合、主に小型のトラックや軽バンを運転し、小型の荷物を運ぶ仕事です。Amazonや楽天などのネットショッピングの荷物をお客様のもとへ配達するような仕事が多いです。

個人宅や企業宛の配達の仕事なので配達時間が決められており、そのため労働時間や休日についても決めやすいといった特徴があります。

配送エリアもあまり広くないため、拘束時間を含む労働時間はあまり延びにくいと言われています。

休日に関しては個人宅はシフト制になることが多いですが、企業先の配達に関しては土日が休みというところが多いです。

実際近距離ドライバーの求人を調べたところ、出勤時間は7時から8時、労働時間は実動8時間、休日は月8回のところもあれば4〜5回のところもありました。休日が少ないところはその分給料も高めでした。

中距離トラックドライバー

小型・中型・大型トラックを運転して主に県内や近県に荷物を配送する仕事です。食品や資材、家具などさまざまな荷物を配送します。

出勤時間は荷物により早朝5時のところもあれば9時のところもあります。実働は8時間が多く、配送エリアも近場のため拘束時間もあまり伸びにくいです。

夜勤の会社の場合は夕方に出勤し、翌朝まで勤務するといった形になります。夜勤の場合は休憩時間も多くありますが、その分拘束時間も長くなるため体力的にきつい部分もあります。

休日は週休2日のところもあれば日曜だけ休みの会社もあります。長距離配送の場合はなかなか休日を取りにくいといったこともあります。

長距離トラックドライバー

長距離トラックドライバーの場合、労働時間、拘束時間が長く休日が少ないといった特徴があります。

仕事内容は中型・大型トラックを運転して片道300km以上先の配送先に荷物を運ぶ仕事です。食品や日用品、建築資材や燃料など荷物の種類は幅広くあります。

距離が長い分、交通量の少ない深夜に車を走らせることが多く夜通し運転することも少なくないです。拘束時間も13時間が普通で休日も週に1回あるかどうかなので体力的に厳しい仕事です。

関連記事

・長距離運転手の仕事内容とは?きつい?給料は?長距離トラックはどんな人に向いているの?など詳しく紹介します

トラック運転手の仕事内容を解説!給料・求人・必要な免許など紹介

・トラック運転手の1日の流れ・仕事内容を車両別に紹介

トラックドライバーが休憩や休日を取れない場合の対処方法

現在は働き方改革で企業側も休憩時間や休息時間、休日を取るように取り組むようになりましたが、中には休みを法律通りに与えない会社もあります。そんな時はどうすればいいか段階順に紹介します。

会社に相談する

まず最初に行うことは会社に相談することです。休日は会社で管理していますが、休憩や休息に関しては本人が黙って短くしていることもあったりと会社が気づいていないケースもあります。

もし会社が休みを取れていないのをわかった上で休みを与えていない場合はしっかり相談するようにしましょう。黙っていると会社側も甘えていたりしてる場合もあります。

一度しっかり話をして解決策を考えてもらうようにしましょう。

次に紹介する労働基準監督署にいきなり相談すると会社としても寝耳に水だったり、今後改善しても会社とのシコリが残る場合もあるので会社とコミュニケーションを取ることをおすすめします。

労働基準監督署に相談する

もし会社に相談しても取り合ってもらえない、改善しないのであれば労働基準監督署に相談しましょう。もしくは会社に言えないような状況であれば最初からここに相談でもいいでしょう。

労働基準監督署とは労働基準法に則り会社が運営しているか監督ならびに指導している行政の機関です。

労働者からの相談を受けつけており、アドバイスをいただいたり、場合によっては会社に立ち入り調査に入ったり、改善要求を行う是正勧告をすることもあります。

しかし労働基準監督署も慢性的な人員不足のため相談を受け付けていても、立ち入り調査など実際に大きく動くといったことはあまりしていないと言われています。

休日の取れる会社に転職する

会社に相談しても何も変わらなかった。労働基準監督署に相談してもダメだった。そんな時は思いきって転職することをおすすめします。

今は働き方改革の影響や人員確保のため、休日をしっかり確保している会社もたくさん増えてきています。どこも同じじゃないの?と思っているかもしれませんが、自分が知らないだけで労働環境が整った会社は意外と多くなってきています。

給料面でもしっかり準備している会社もあるので一度転職サイトを覗いてみてはいかがでしょうか。

関連記事:

・トラック運転手の現実とは?年収や労働時間・待遇を徹底解説

トラックドライバーの休息時間に関する特例事項がある

トラックドライバーの休息期間には特例が存在するので、3つ紹介します。

休息期間を分割して取れる

休息期間は本来8時間以上連続で取らなければいけませんが、特例として8時間を分割して休息することが認められる場合があります。

ただし、その場合は連続して4時間以上、計10時間以上の休息が必要です。

さらに、2人以上のドライバーがトラックに乗務する場合、拘束時間を1日20時間まで伸ばし、休息期間を4時間まで縮めることが可能です。

生活時間でなくとも休息期間になることがある

トラックがフェリーに乗船している時間は、休息期間とみなされます。

21時間以内の隔日勤務が可能

勤務が終了してから20時間以上の休息期間を取れば、21時間以内の隔日勤務が可能です。

さらに、仮眠施設を利用して睡眠時間を4時間以上取れば、労働時間を24時間まで延長できます。

ただし、こちらの特例が適用されるのは2週間に3回までであり、総勤務時間も2週間で126時間が条件となっています。

【厚生労働省労働基準局】トラック運転手の労働時間等の改善基準ポイント

関連記事:トラック運転手に転職して良かったこと6選|現役に質問してみた

まとめ

トラック運転手は依然として過酷な環境のもと働いている方が多いですが、働き方改革の効果もあって、企業の考え方も変わってきつつあります。

しかし、まだ人員不足の会社も多く、その場合ちゃんと休日を取れない可能性もありますが、今は求人票に休日について細かく書かれているのでしっかり確認すればトラブルも未然に防げます。

ただ求人票に書かれていることを鵜呑みにせずに自分自身で会社に確認するようにしましょう。

仕事もプライベートも充実した日々を送れることを願っています。

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