よく道路を走っているのを見掛けるバキュームカー。汲み取り屋は排泄物を回収する仕事で耐え難い臭いがするのは多くの人達が知っていることでしょう。
しかし人間社会においてトイレなどから排出された汚水の処理を行う仕事は衛生面で言えば社会貢献度が高く有り難いと思うべき職業と言っても過言ではありません。
仮にも汲み取り屋が存在しなくなれば汚水が周囲に晒されたままの生活をすることになってしまいますからね。
さてこれから
- 汲み取り屋の収入
- 仕事の流れとは?
- どうすれば汲み取り屋になれるのか
など気になる情報をご紹介致します。
汲み取り屋への転職を考えている方必見です!
また下記ではバキュームカーの構造などについて詳しく書いています。
是非こちらもご覧ください!
バキュームカー(吸上車)の構造や仕組み、歴史はどうなっているの?
目次
汲み取り屋(バキュームカー)の業務内容
汚水処理のスペシャリストで一般的に汲み取り屋とも呼ばれている仕事内容を解説します。
いわゆる汲み取り屋の人たちは仕事生活は担当する公務員や企業社員がバキュームカーに乗り汚水を回収して回るお仕事に従事しています。
実際に汲み取り屋の会社へ入社した人の話によると業務はバキュームカーの運転や汲み取りだけではなく浄化設備の点検や清掃など様々な仕事をしなければならないのだそうです。
汲み取り屋とは産業廃棄物処理業
意外と知らない人が多い産業廃棄物処理業とは何か?
様々な事業活動によって発生したゴミの処理を行うことを言いますが、その種類は事業によって様々で法令で定められている20種類の産業廃棄物が存在するのです。
例えば建設業で発生するゴミは(鉄くず・木くず)、石油業では(廃油・汚泥)、印刷業では紙くずが中心に発生するなど事業によって廃棄物の種類が大きく異なります。
産業廃棄物に担当しない一般家庭などで発生するゴミは「一般廃棄物」となり可燃や不燃などの一般ごみ、糞尿などの排泄物などが含まれます。
汲み取り屋はトイレなどからの排水で浄化槽に溜まった糞尿や汚泥の処理を担当、「し尿処理作業員」とも呼ばれているんですよ。
汲み取り屋のお仕事は大きく下記の3つです。
- 現場までの運転
- 浄化槽の汲み取り
- 保守点検
ではそれぞれについて解説していきます。
現場までの運転
浄化槽のある汚水回収の対象現場まで汲み取り屋がバキュームカーで運転することから始まります。
運転している間は汲み取り作業と比べると気が楽になると思われますが現場によっては道中の道幅が狭い所や駐車が困難な現場もあるので油断はできないのです。
バキュームカーのサイズは幅が広く小型車から大型車まで存在し狭い道にも対応ができるようになっていますが汲み取り屋として全てのバキュームカーに乗るには大型車の免許を取得しなければなりません。
浄化槽の汲み取り
汲み取り屋としての主な業務とも言うべき汲み取り業務は浄化槽が設置されている現場へ赴きトイレで流されている糞尿の回収などの汚泥処理を行うことです。
主な処理方法とはバキュームカーに設置されているホースを用いて浄化槽の吸い取り、側面に付着したゴミを取り除き内部洗浄をしていきます。
浄化槽には糞尿のみを処理する「単独処理浄化槽」と台所の流し、洗濯、浴槽の排水処理を行う「合併処理浄化槽」が存在しますが何れも作業工程は似たようなものだと思って下さい。
汲み取りの際には、し尿だけでなく衛生上好ましくないゴキブリ・蛆・蠅などが大量に発生している場合もあるので殺虫をしながら作業を進めて行くことになるでしょう。
保守点検
汲み取り屋の業務は浄化槽に対する保守点検も含まれます。
浄化槽の働きによって汚水を浄化し川や海など自然に流す大切な役割を持っているため常に正常に作動していなければいけません。
そのためには浄化槽を定期的に点検、内部の清掃、修理等を行う必要があるのです。
汲み取り屋(バキュームカー)の給料・年収相場
汲み取り屋に対して興味を持った人が最も気になっているのは給料面、または年齢によっての収入差はどれほどの額になるのかということではないでしょうか?
確かに年齢による収入差は存在するのですが厳密に言えば個人の年齢ではなく経験年数によって収入に差が出ることを理解しておく必要があります。中型以上の自動車免許や浄化槽管理士など汲み取り屋に必要な免許の有無や勤務歴によって変動するためです。
汲み取り屋の魅力と言えるのは基本給とは別に賞与を含めた各種手当が充実していることが多いことでしょう。
1ヶ月の給料では少し不満になりがちですがボーナスを踏まえて年収面で見た時には他の業種よりも多いと理解する人もいるそうです。
アルバイトとして汲み取り屋のお仕事をする場合
汲み取り屋は社員を募集している所が多いのですが少なからずアルバイトも募集している会社も存在しています。
他の企業よりも時給が高く短期でも十分に稼ぐことができる魅力を持っているのです。
時給は1,300円~1,800円が相場でアルバイトとして汲み取り屋へ入社を入社を検討している人も意外と多くいます。
20代の給料と年収
【20代】バキュームカー運転手の給料 | |
月収 | 20万円〜25万円 |
賞与込み年収 | 380万円〜430万円 |
初任給から20代後半まで経験を積んだ汲み取り屋の平均月収ですが、やはり賞与や各手当によって年収が多い傾向にあります。
30代の給料と年収
【30代】バキュームカー運転手の給料 | |
月収 | 23万円〜30万円 |
賞与込み年収 | 400万円〜500万円 |
汲み取り屋としてベテランの域に達した30代は給料面が20代よりも一回り多くなっている傾向にあります。
40代の給料と年収
【30代】バキュームカー運転手の給料 | |
月収 | 25万円〜45万円 |
賞与込み年収 | 400万円〜500万円 |
汲み取り屋を20代から始めて40代まで続けると給料に大きく変化が現れます。
ボーナスと退職金
汲み取り屋の多くの会社には賞与(ボーナス)と退職金制度が待遇されています。
ボーナスの平均値は給料の約2ヶ月分を年2回です。また勤続年数によって年々と賞与額が上がることが多いようです。
賞与や退職金制度に関して求人募集に記載されていない会社もあるので面接の際には、しっかりと聞いておく必要があります。
中にはボーナスや退職金が出ない会社もあるので転職の前には必ず確認しましょう。
汲み取り屋(バキュームカー)のメリット・デメリット
バキュームカー運転手になるメリット
学歴は関係ない
汲み取り屋は公務員が携わる自治体が運営している所と一般企業の2種類あります。
自治体への入社には公務員となれば高卒以上の学歴が問われるのですが一般企業であれば特に学歴は問題ない会社が存在します。
バキュームカーを運転することが多くなるため、学歴よりも中型以上の自動車免許が必要となってくるでしょう。
就職希望者が少ないので内定率が高め
汲み取り屋の仕事は常に異臭と隣り合わせで作業を行うことになるので自ら進んで転職の対象とする人は少ないのが現状です。
入社希望者が少ないだけあって内定率も高めとなっており入社が容易なのが汲み取り屋の大きなメリットとなります。
会社によっては50代の転職でも可能なので興味を持った人は積極に汲み取り屋へ応募をしてみては如何でしょうか?
車内にも臭いがなく清潔に仕事ができる
汲み取り屋の仕事に就いてしまうと臭いが全く取れないなど昔からの噂が根強く残ってしまっているのもあってか興味を持った人も転職にまで至らないケースも存在します。
所が一昔前と比べると技術の発達、設備投資によって近頃のバキュームカーは進化しており車内にまで異臭が漂うことは少なくなっているんですよ。
それにより働き方改革にも大きく貢献される結果となり常に異臭で悩まされていた以前とは違い消臭機能が充実した現在では汲み取り屋として職務が快適になりつつあるようです。
作業に至っては器具を使い手袋を装着するので汚水に直接触れる訳ではないので肌に着くこともなく基本的には清潔な仕事です。
ただ機械の取り扱いや作業工程を間違えると汚水が周囲や身体に付着してしまうこともあるので基本に沿った作業をしなければなりません。
バキュームカー運転手になるデメリット
肉体労働である
汲み取り屋は、し尿を多く取り扱う職務上で常に異臭と隣り合わせとなる仕事だと思って下さい。
特に夏場においては汲み取りの際に激臭が漂い臭気に敏感な人は耐え難い苦痛を味わうことだってあるのです。
その他にも吸引器のホースの引っ張りやマンホールの開閉において何れも重量がある器具なので力を使うことになるでしょう。
基本的に現場作業となり外回りの仕事とも言えるので夏は激臭以外にも猛暑や冬場は寒気にも耐えながら汲み取り作業をおこなうため、やや過酷な肉体労働でもあります。
しかし汲み取り屋として、ある程度の経験を積むことによって臭気にも慣れるといわれているため仕事を続ける気持ちが最も大切です。
作業中は臭いに耐える必要がある
上記で説明したように、バキュームカーは年々進化しており、汚れることなく作業ができるだけではなく車内に臭いが漂うといったことはなくなりました。
ですが、浄化槽の中身を汲み取る作業中はどうしても臭いが漂うため耐える必要があります。
また、汲み取り清掃業者は中小企業が多く、会社によっては最新の車両でなかったり設備が整っていないということもあるようです。
特に夏場などはむしむしとした暑さの中で臭いが漂うため、それに耐えられないという人もいます。
汲み取り屋(バキュームカー)になるためには?
必要な資格
普通自動車免許、中型免許などのバキュームカー運転に必要な免許のみでも働き始められる求人もあります。ただし、浄化槽管理士という国家資格を必須とする会社も少なくありません。
浄化槽管理士とは浄化槽の点検、整備、水質管理などのプロフェッショナルです。試験は年に一回で、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、福岡県などで受けることができます。学歴や勤務歴を問わず誰でも受けることができる資格試験なので、バキュームカーのドライバーへの転職を考えるなら対策を初めてみてもよいかもしれません。
試験を主催する公益財団法人日本環境整備教育センターのWebサイトをご覧になると、東京を始めとする全国各地での講習情報を確認できます。
求人情報
同じ汲み取り屋でも地域や会社によって収入に大きく差が出ます。
幾つか求人例をご紹介致しますが、汲み取り屋の多く共通している部分は「労働時間、休日、賞与、各手当、福利厚生」が充実していることです。
求人サイトやハローワークでも汲み取り屋の募集を随時行っている所が多く気軽に応募・転職することができます。
求人例1
バキュームカー運転手の求人1 | |
勤務地 | 愛媛県新居浜市 |
雇用形態 | 正社員(フルタイム) |
雇用期間 | 定めなし |
定年制 | 60歳まで、再雇用あり(65歳まで) |
月給 | 基本給:20,000円+各手当46,000 |
賞与 | 年2回、計3ヵ月分 |
勤務時間 | 8:00~17:00(休憩60分) |
休日 | (週休2日) 盆(15・16)、地方祭り(10月17日・18日)、年末年始(12月31日〜1月4日) |
交通手段 | マイカー通勤(無料駐車場) |
通勤手当 | 15,000円まで |
仕事内容
|
汲み取り |
し尿処理 | |
浄化槽の清掃業務 | |
保守点検 | |
浄化槽施工 |
この求人についてもっと知りたい
この求人は、事業所の意向により、事業所名、代表者名、法人番号、所在地、電話番号、FAX番号をインターネット上にて提供しております。
最寄のハローワーク では、さらに詳しい情報を提供し、事業所への紹介を行っております。
その他にも就職に関する相談等を行っておりますので、お気軽にどうぞ。引用元:ハローワーク
求人例2
バキュームカー運転手の求人2 | |
勤務地 | 埼玉県鴻巣市 |
雇用形態 | 正社員 |
応募資格 | 中型免許・AT限定不可 |
定年制 | 60歳まで、再雇用あり(65歳まで) |
月給 | 270,000から(1ヵ月の試用期間有)、異形から転職歓迎 |
賞与 | 年2回 |
勤務時間 | 7:30~17:00(休憩120分) |
休日 | 日曜祝日・月1〜2回の土曜日・年末年始など |
地域の衛生と環境を守る「浄化槽」の清掃・点検のお仕事
引用元:create転職サイト
求人例3
バキュームカー運転手の求人3 | |
勤務地 | 大阪府大阪市 |
雇用形態 | フルタイム |
雇用期間 | 定めなし |
定年制 | 60歳まで、再雇用あり(65歳まで) |
応募資格
|
年齢制限なし |
勤務歴・学歴不問 | |
準中型自動車免許以上(ミッション車必須) | |
月給
|
基本給:17,5000~205,000 |
手当等:30,000 | |
家族手当:配偶者6,000・子供1人4,000 | |
浄化槽管理手当:20,000 | |
皆勤手当:5,000 | |
賞与 | 年2回 |
福利厚生 | 賞与年2回・社会保険完備・有給休暇・禁煙手当・交通費支給(上限あり)・車通勤OK |
勤務時間 | 8:00~17:00(休憩120分) |
休日 | (週休2日) 日曜祝日・他 第2、第4土曜日 年間休日(105日) 年末年始・ゴールデンウィーク・お盆 |
加入保険 | 雇用・労災・健康保険・厚生年金・退職金共済加入 |
退職金 | 制度あり(勤続年数1年以上) |
仕事内容
|
・汲み取り、浄化槽の清掃 |
・3tのバキュームカーでの収集及び運搬 | |
・伝票処理、事務処理等 | |
・浄化槽の維持管理(一般宅、事務所の浄化槽保守点検) | |
・その他業務 | |
・トライアル雇用併用求人 |
一般廃棄物収集及び浄化槽維持管理 - Osaka
引用元:BJハローワーク大阪
汲み取り屋の仕事はきつい?
し尿の汲み取りのお仕事は臭気や社会的なイメージからきつそうに思われています。本当のところはどうなのでしょう?ネットの声を集めてみました。
【汲み取り屋の口コミ1】臭いはきつくない。ただしイメージは悪いと感じる
yam********さん 2010/9/1820:21:37
以前、古いし尿処理施設に勤務していました。そして、現在、新しいし尿処理施設を建設する仕事をしています。
し尿処理施設は私たちが生活をする上で必要不可欠であるにもかかわらず、迷惑施設であり嫌われ者です。
確かに扱っているものがモノだけに、施設内の一部では臭いはしますが、それも場所によって違いますし、最近の施設は脱臭設備が完備していますので、日常業務空間ではほとんど臭いません。
人の役に立つ施設であるという誇りを持って勤務されてください。
【汲み取り屋の口コミ2】きつくはあるがホワイトな労働環境。
手取り5万増えるとしても、ブラックには行きたくないです。
人間関係悪かったらストレス溜まるばかりになります😓し尿処理という、臭い、汚い、きついの3Kは伴うけど、それも配慮され、この業種未経験でも賃金待遇もいい✨✨
この職場に骨をうずめられるよう、一生懸命やります😊— 真 @ 鬱から人生這い上がり中😊 (@KENNY_PENGUIN_) 2019年11月23日
し尿の汲み取りは確かに社会的なイメージの高い仕事ではないことが伺えます。ただ、衛生環境、労働環境のどちらも改善が進んでいるようです。
まとめ
人は生活をするだけで必ずゴミを発生してしまうことがご理解頂けたと思います。
廃棄物の中で日常的に多く発生する汚水は排泄を含めて毎日のように発生しており、それを処理する人がどうしても必要となってくるのです。
排出された水や固形物を回収する汲み取り屋は決して周囲から好まれる職業ではないのは言うまでもありません。
快適な社会生活を送る為にも汲み取り屋は「誰かがやらなければならない仕事」であり、なくてはならない存在でもあるのです
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