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運送業界のM&Aとは?売却事例38選や注意点を徹底解説

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運送業界のM&Aの現状や動向、38の売却事例などを解説します。

実際にM&Aで会社を売却する際の流れや注意点、費用・売却価格の相場、メリットやデメリットも紹介するので、会社の売却を検討している経営者の方は参考にして下さい。

運送業界の定義とM&Aの意味

こちらでは運送業界やM&Aの定義について解説します。

運送業界の定義

まず、運送業界を含む大きなカテゴライズとして物流業界があります。

物流業界では具体的に以下のような業務が発生します。

・倉庫の管理

・荷物を積み降ろしする荷役

・シールや配送ラベルなど貼り付ける加工

・商品を段ボールなどに入れ、傷つかないように手配する梱包

・宅配便の送り状番号のようにモノの位置を確認したり、倉庫や稼働中の商品の在庫数を把握するためのシステム管理

これらの業務を総合的に取り扱う業界を物流業界と言います。

その中でも、街中で見かけるトラックなどでモノを運ぶ「運搬」に特化した業界を運送業界と言います。

M&Aとは

M&A (Mergers and Acquisition)の意味h、「合併と買収」です。

厳密に言えば、同じM&Aでも吸収合併、株式の取得、事業譲渡、資本提携など形式が細かく分かれています。

今回はそれらの中から、単純に企業が買収される買収・売却事例やポイントについて解説します。

関連記事:目指すのはドライバーに還元できる運送会社。そのために規模拡大を目指す株式会社新興運輸

運送業界の現状とM&A動向

こちらでは運送業界のM&Aの現状と動向について説明します。

運送会社は増加している

国土交通省発表の貨物自動車運送事業者数(推移)を確認していくと、統計が始まった昭和50年度では普通貨物自動車運送事業者数は28,253社ありました。

その後、年間約500社から1000社あたり増え続け、平成元年には35,888社、平成29年には57,054社と統計上ですが、約40年で30,000社弱増加しました。

参照:貨物自動車運送事業者数の推移(国土交通省)

ネット通販の普及による需要拡大

今日では、Amazonや楽天、ヤフーショッピング、メルカリなど、インターネット上でモノを売買することが容易となりました。

さらにコロナ禍で巣篭もり需要が高まったため、それらのEC通販サービスは現代人にとってより身近なサービスになったと言えます。

その証拠に、経済産業省の調査によると、2013年から2021年にかけて、EC通販の市場規模は約2倍まで拡大しました。

こうしたEC通販の市場拡大に伴い、運送業者の需要はますます高まっています

参照:2022年8月の電子商取引に関する市場調査(経済産業省)

中小企業が多い

国土交通省の調査によると、トラック運送事業を営む法人の99.9%は中小企業です。

ここ40年で運送会社の数は増えましたが、そのほとんどが中小企業であることがわかります。

参照:物流を取り巻く動向について(国土交通省)

④深刻なドライバー不足

運送業界はいま深刻なドライバー不足の状況にあります。

現に総務省が発表している「労働力調査」によると、2017年の運送業界の就業者は40代が多いという結果でした。実際現場では60代で現役ドライバーという人も多く存在します。

10代・20代の就労者数は他産業よりも大幅に少なく、若手不足も深刻な問題です。

運送業界は以前から「労働時間が長い」「給料が少ない」など言われ、就業先として若年層から敬遠されがちでした。

近年は運転免許を保有しない若者が増えていることもあり、より若い人材を獲得しにくくなっています。

労働環境の改善という課題

深刻なトラックドライバー不足の背景には、運送業界の労働環境の問題もあります。

一時期、「大手運送業者がAMAZONの配送をやめる」、「業界全体の配送料の値上げ」、「配送請負時間の変更」など、配送業界の話題で持ちきりになったことがありました。

これは、ネット通販で請け負った荷物があまりにも増えすぎたため、現場の配送員の労働環境が大幅に悪化していることが発端でした。

この問題に対し、大手配送業社は値上げによる手当の増加や、請け負う荷物の数の削減、コンビニでの荷受けなど、少しでも業務の負担を減らす企業努力をしたのです。

来たる2024年問題によってさらなる人手不足が懸念される中、同時に労働環境の改善にも取り組むのは、運送会社にとって相当ハードルが高いと言えます。

燃料費問題

近年では燃料費の高騰も運送業界にとっては大きな問題です。

燃料費は流動性が高く、値上がりがいつ始まるか、いつまで続くかは予測しづらいです。

また、この費用を運送費に転嫁することも難しいので、企業努力で解決しなければならず頭が痛い問題です。

運送業界のM&Aの増加

物量の増加による配送業界の需要の増加、トラックドライバー不足、燃料費の問題などにより、会社として今後の業績に不安が残るところがあります。

そのため、近年ではM&Aにより会社を売買することにより、生き残ろうという考えを持つ会社が増えています。

運送業界全体で赤字営業が過半数

運送業界では赤字営業している企業が非常に多いです。

依頼先から物流費の削減を依頼され、削減できないと仕事をもらえないため、対応せざるを得ません。それに加え、燃料費の上昇によりコストが増え、赤字営業に陥っています。

また、傭車として働くこともあるので、孫請けのような状態に陥り、仕事をしてもほとんど利益が出ないなどのケースもあります。

中小企業の後継者問題

若年層は運送業界に働き方や給料の面であまり良いイメージを持っていないため、入ってくる人が少ないです。企業の平均年齢は増加する一方であり、今後後継者がいなくなる問題も控えています。

以上が、運送業界の現状とM&Aの動向になります。

現在運送会社を経営されていて、M&Aに関心のある方は以下のバナーからお気軽にお問合せ下さい。

運送業界のM&A事例38選

この節では前節で解説した数々の問題を抱えている運送業界のM&A事例をあげていきます。

・M&A事例その1「DHLサプライチェーン」(買収)とコニカミノルタホールディングス(売却)

2013年3月、DHLサプライチェーンはコニカミノルタホールディングスの物流業務を継承しました。

これにより、国内ネットワークの再構築、物流事業の最適化、コスト削減などを目指しています。

・M&A事例その2「日本郵政」(買収)とトール・ホールディングス(売却)

日本郵政グループは2015年オーストラリア物流大手のトール・ホールディングスをM&Aで買収しました。このM&Aは国際物流での規模拡大を目指しております。

日本郵政グループでは国内の郵便事業だけではなく、船会社や日本唯一の航空貨物航空会社等も持っております。

また、トール・ホールディンクスはアジアなど55カ国に計1200箇所以上の拠点を持っております。このM&Aにより両社の特徴や既にある施設を活かすことができるので大幅な国際事業拡大を目指せます。

・M&A事例その3「鴻池運輸」(買収)と「エヌビーエス」(売却)

今回は少し運送業界のM&Aとは離れるかもしれませんが、事業力強化のためのM&Aを紹介します。

鴻池運輸は資本金17億円、従業員数2万4千人の大企業です。

この会社は運送に限らず国際物流や倉庫など総合物流の会社になります。

一方、エヌビーエスは資本金4700万円、従業員数88人の会社で、発電所やエネルギー関連プラントの電気関係を得意とするエンジニアリングの会社になります。

2018年に鴻池運輸はエヌビーエスの全株式を取得し、完全子会社としました。

この、M&Aにより鴻池運輸はエヌビーエスが行なっているNBS が得意とする電気・計装設計や運転管理、さらには鴻池運輸がすでにサービスができるプラントの設計・設置工事を合わせて、エンジニアリングサービスをトータルコーディネートしてお客様に向けてサービスができるようになりました。

これは自社のサービスの拡大をするためにしたM&Aになります。

・M&A事例その4「香港ヤマト」(買収)と「GWTDグループ」(売却)

日本の国内大手であるヤマトホールディングスグループの香港ヤマト運輸株式会社は2016年の年末に中国の広州を拠点とするGuangzhou Wisepower Transportation & Distribution Group Co., Ltd.をM&Aしました。

これは、東アジア・東南アジアで加速するモノの生産や物流にヤマトホールディングスがより事業拡大を目指したものとなります。

これによりヤマトは日本とアジア圏、さらにはアジア圏と欧州などの国際物流のルート強化ができました。

このように現状またはこれから物流網の拡大が期待できる地域にある会社をM&Aすることにより、国際物流のセールスを強化でき、また、きめ細かいサービスをお客様に提供できることができます。

・M&A事例その5「濃飛倉庫運輸」(買収)と「つるとみ運輸株式会社」(売却)

濃飛倉庫運輸株式会社は創業大正5年、岐阜県を本拠地とし、資本金4億9,680万円の老舗の大手運送会社になります。

濃飛倉庫運輸は岐阜県だけでなく、東京、名古屋、大阪、北陸、さらには香港、上海、青島、ホーチミン、バンコクなど様々なところに拠点もあります。

今回、濃飛倉庫運輸はつるとみ運輸株式会社という資本金一千万円の会社をM&Aしました。

つるとみ運輸は建築資材から食料品まで幅広くの配送を担っており、関東に2箇所の事業所、合計70台のトラックを保有しております。

濃飛倉庫運輸がつるとみ運輸をM&Aしたことにより、輸送力の効率アップや、車両の増強、お客さまサービス拡大など、ハード面で関東の事業強化につながりました。

・M&A事例その6「安田倉庫」(買収)と「大西運輸」(売却)

安田倉庫は創業大正8年、東京都港区を本拠地とし、資本金36億210万円の老舗の大手物流会社になります。

安田倉庫は名前の通り、倉庫業をはじめ、港湾業、通関業、運送業、さらには不動産業まで営んでおります。安田倉庫は、2019年に石川県を本拠地とする大西運輸とオオニシ工機をM&Aしました。

大西運輸は北陸3県に根ざした配送網ももっている配送業者で、オオニシ工機は北陸三県で主に建設業をしており、クレーン作業や建材輸配送を得意としています。

このM&Aで安田倉庫は、北陸地方の物流力強化と、重量物輸送さらにはクレーン作業や建て方においても、強化でき、安田倉庫グループの輸配送ネットワークのさらなる充実と輸配送サービス品質の向上が見込まれます。

・M&A事例その7「ハマキョウレックス」(買収)と「JPロジサービス」(売却)

ハマキョウレックスは静岡県に本拠地を置く資本金65億47百万、従業員は4700人ほどいる会社です。

主に、アパレル・化粧品を中心に3PL事業を行なっており、日本全国に拠点を持っています。

一方JPロジサービスは大阪を拠点としている日本郵便の子会社で、主に百貨店をメインとした物流事業を展開しています。

JPロジサービスをM&Aすることによってハマキョウレックスは自社の拠点を活かしつつ百貨店事業にも参入でき、シナジー効果が期待できます。

・M&A事例その8「三菱倉庫」(買収)と「富士物流」(売却)

三菱倉庫は倉庫事業から海上運送業、通関業、不動産の売買・賃貸借まで幅広く行なっている会社です。2010年に富士物流をM&Aしました。

富士物流は運送業界の中でも大手に分類される会社になります。電機・電子・精密機器などの分野を得意としている富士物流をM&Aしたことにより、三菱倉庫はより幅広いサービスが提供できるようになります。

・M&A事例その9「レンゴー」(買収)と「山陽自動車運送株式会社」(売却)

レンゴーは資本金310億円の大企業で主に、段ボールや板紙、包装製品などの製造販売を行なっている会社です。さらには国外に151工場を保有しております。

2011年に阪神電気鉄道株式会社から株式を取得し山陽自動車運送株式会社をM&Aしました。

山陽自動車運送株式会社は混載輸送にノウハウがあり、レンゴーにはない物流ノウハウがあるのでレンゴーの新しい物流方式をつくるとともに効率化を目指し、グループ全体の価値向上を目指しました。

・M&A事例その10「ロジネットジャパン」(買収)と「中央通運」(売却)

ロジネットジャパンは札幌を本拠地とする資本金10億円の会社です。札幌通運と関東を拠点にしている中央通運を傘下におさめ両者間の輸送ネットワーク拡大した会社です。

2012年に株式会社青山本店をM&Aして傘下にいれました。青山本店は関西地方での食品物流を展開している会社で、今回の買収により、関西地方の食品物流や倉庫業務などの物流サービス強化をしました。

・M&A事例その11「セイノーホールディングス」(買収)と「西濃運輸他4社」(売却)

セイノーホールディングスは2022年4月に西濃運輸、東海西濃運輸、関東西濃運輸、濃飛西濃運輸、西濃運輸、計5社の合併を発表しました。

こちらの合併により、セイノーホールディングスは貨物自動車運送事業の展開エリアを拡大すると共に、運行効率の最適化、幹線ダイヤの再編を進めています。

・M&A事例その12「ヒガシトゥエンティワン」(買収)と「山神運輸工業」(売却)

2022年2月、ヒガシトゥエンティワンは山神運輸工業を小会社化しました。

鋼材や機械などの重量物輸送・海上コンテナ輸送をおこなう山神運輸工業のノウハウを手に入れたことで、輸送力の強化を目指しています。

また、山神運輸工業は機械の据付やメンテナンスなどのエンジニアリング事業も展開していたため、
ヒガシトゥエンティワンにとって新しい分野での事業展開が可能となりました。

・M&A事例その13「アクセンチュア」(買収)と「トランコムITS」(売却)

アクセンチュアは、2022年3月にインフラ構築やソフトウェア開発を得意とするトランコムITSの株式を取得することを発表しました。

具体的にはトランコムITSの完全子会社に外販事業を承継させた上で、小会社の全株式を取得しました。
この買収により、アクセンチュアは物流のDX化に向けたソリューションの構築を推進すると発表しています。

・M&A事例その14「ニッコンホールディングス」(買収)と「安川トランスポート」(売却)

2022年2月、ニッコンホールディングスは、安川電機の傘下である安川トランスポートの株式を取得し小会社化、ニッコン北九へと社名を変更しました。

物流サービス事業を展開するニッコンホールディングスは、同じく物流サービス事業を展開する安川トランスポートを獲得することで、ネットワークの拡大、品質や価格などのサービス向上を目指しています。

・M&A事例その15「ベストライン」(買収)と「前川運輸」(売却)

2022年3月、鴻池運輸は連結子会社である前川運輸の株式の81%をベストラインに譲渡すると発表しました。

一般貨物自動車運送業を展開するベストラインは、同じく運送業や倉庫業を展開する前川運輸と連携することで、幹線輸送の強化を目指しています。

・M&A事例その16「センコーグループホールディングス」(買収)と「AirRoad Pty Ltd」(売却)

2021年4月、センコーグループホールディングスは、AirRoad Pty Ltdの株式の60%を取得し、グループ会社化しました。

AirRoad Pty Ltdは、オーストラリアで生産された自動車部品や精密機器の輸送をしている会社です。

この買収により、センコーグループホールディングスは域内配送や長距離輸送の効率化や、コールドチェーン(適切な温度のまま流通させる仕組み)事業へ参入を目指しています。

・M&A事例その17「SBSホールディングス」(買収)と「東洋運輸倉庫」(売却)

2020年12月に、SBSホールディングスはSMC株式会社の小会社「東洋運輸倉庫」の株式を取得、連結小会社化しました。

通関業や営業倉庫、損害保険取扱業務などを展開する東洋運輸倉庫のノウハウやインフラを獲得することで、SBSホールディングスは協業によるシナジー効果を期待しています。

・M&A事例その18「SBSホールディングス②」(買収)と「古河物流」(売却)

2021年4月、SBSホールディングスは古河物流の株式の66.6を取得し、連結子会社化しました。

電子部品や自動車部品などの輸配送、国際物流、流通加工などのノウハウを持つ古河物流を買収したことで、SBSホールディングスは物流サービスのさらなる価値向上を目指しています。

・M&A事例その19「トナミホールディングス」(買収)と「御幸倉庫」(売却)

2020年12月、トナミホールディングスは御幸倉庫の全株式を取得しました。

御幸倉庫は倉庫業をはじめとして、運送業や荷造・梱包作業、不動産貸付業などを展開する、メーカー系の物流に強い会社です。

その御幸倉庫と連携し、インフラの活用や情報システムの共有を進めることで、サービスの効率化や価値向上を目指しています。

・M&A事例その20「UACJ」(買収)と「UACJ物流」(売却)

2020年8月、株式会社UACJは連結小会社であるUACJ物流の構内運搬事業を、会社分割により承継しました。これにより、従来よりも柔軟かつ迅速な運営力の強化を目指しています。

・M&A事例その21「キユーソー流通システム」(買収)と「KIAT ANANDAグループ」(売却)

2020年9月、キユーソー流通システムは、インドネシアに拠点を置く物流会社KIAT ANANDAグループ傘下の複数社に第三者割当増資をおこない、それらを小会社化しました。

キユーソー流通システムは主に倉庫業や運送事業、通関業、一般物品の荷造・配送などを請け負う会社です。

そのキユーソー流通システムが持つ物流機能とKIAT ANANDAグループの営業力やノウハウを掛け合わせることで、インドネシアでの物流ネットワークの構築を目指しています。

・M&A事例その22「鴻池運輸②」(買収)と「BEL社」(売却)

2018年10月、鴻池運輸は香港のBEL社を子会社化しました。

BEL社は航空貨物事業を主力とする会社で、欧州、中東、インド、北米にまでシェアを拡大しています。
そのBEL社を小会社化することで、鴻池運輸は取引可能なマーケットの拡大を目指しています。

・M&A事例その23「SBSホールディングス」(買収)と「リコーロジスティクス」(売却)

2018年8月、SBSホールディングスはリコーロジスティクスの株式の66.6%を取得、連結子会社化しました。

運輸・倉庫業を主力とするリコーロジスティクスを小会社化することにより、ネットワークの強化やIoTへの対応、海外での事業拡大を目指しています。

・M&A事例その24「西日本鉄道」(買収)と「GLOBAL STAR INTERNATIONAL SAS」(売却)

2018年10月、西日本鉄道はフランスの物流会社「GLOBAL STAR INTERNATIONAL SAS」を買収しました。

石油プラントやファッションを主力とするSASを買収することで、国際物流事業の拡大・強化を目指しています。

・M&A事例その25「シーアールイー」(買収)と「ブレインウェーブ」(売却)

2018年5月、株式会社シーアルイーは第三者割当増資によってブレインウェーブを小会社化しました。

ブレインウェーブは物流プラットフォーム「ハピロジ」を運営する会社であり、互いの強みや地盤を生かした事業強化を目指しています。

・M&A事例その26「ビックカメラ」(買収)と「エスケーサービス」(売却)

2018年7月、ビックカメラは大型家電の設置や配送を主力とするエスケーサービスを小会社化しました。これにより、自社サービスの強化を目指しています。

・M&A事例その27「トナミホールディングス」(買収)とケーワイケー(売却)

2018年4月、トナミホールディングスは事業拡大のシナジー効果を目指し、ケーワイケーの株式を全て取得、完全小会社化しました。

・M&A事例その28「丸和運輸機関」(買収)と「コープデリ生活協同組合連合会」(売却)

丸和運輸機関は2018年3月に、コープデリ生活協同組合連合会の商品個配事業を買収しました。

元々関西圏で同連合会の商品個配事業をおこなっていた丸和運輸は、これにより首都圏での事業展開を目指しています。

・M&A事例その29「郵船海陸運輸」と「北日本倉庫港運」(合併)

2012年2月、郵船海陸運輸は北日本倉庫港運と合併しました。北日本倉庫港運を存続会社とした後、「ノーススタートランスポート」と社名を変え、事業を継続しています。

・M&A事例その30「日本通運」(買収)と「Transcof S.r.l」(売却)

2018年3月、日本通運はイタリアの物流会社Transcof S.r.l(Traconf)を買収しました。

Transcofはファッション関連の配送サービスを主力としており、イタリア、オーストラリア、中国やアメリカにまでシェアを伸ばしています。

そんなTranscofを買収することで、日本通運は国際規模でのネットワークの拡大を目指しています。

・M&A事例その31「ハマキョウレックス」(買収)と「千代田運輸」(売却)
2017年4月、ハマキョウレックスは千代田運輸の全株式を取得し、株式譲渡契約を結びました。

山口県と福岡県に拠点がある千代田運輸を買収することで、中国エリアの拠点を獲得し、サービスの効率化・価値向上を目指しています。

・M&A事例その32「サカイ引越センター」(買収)と「SDホールディングス」(売却)
サカイ引越しセンターは2016年4月、SDホールディングスの株式を取得、小会社化しました。

ダスキンをはじめとする清掃系の事業を主力とするSDホールディングスを傘下とすることで、清掃サービスの需要確保、ブランドイメージの向上を目指しています。

・M&A事例その33「商船三井」(買収)と「Azalea Maritime B.V.」(売却)
商船三井は、2018年1月にオランダの船員配乗会社「Azalea Maritime B.V.」を買収しました。

この買収により、商船三井は欧州でのシェア拡大および人材育成の強化を目指しています。

・M&A事例その34「センコー」(買収)と「アスト」(売却)
2013年9月、輸送・保管・流通加工などを提供するセンコーは、家庭紙卸売を主力とするアストを買収しました。

センコーの物流ノウハウと、アストの小売業界での販売力を一体化し、製造から販売までをワンストップでおこなうビジネスモデルを目指しています。

・M&A事例その35「鴻池運輸③」(買収)と「九州産交運輸」(売却)

2014年3月、鴻池運輸が九州産交運輸を買収しました。

九州産交運輸は医薬品輸送を主力としており、両者の協力により効率的な配送システムの構築、事業拡大を目指しています。

・M&A事例その36「日本通運②」(買収)と「パナソニックロジスティクス」(売却)
2013年3月、日本通運はパナソニックからパナソニックロジスティクスの株式の一部を譲渡されました。これによって、運送シェアの安定化を狙っています。

・M&A事例その37日本通運」と「名鉄運輸」(資本提携)

日本通運は運送業会では大企業に分類される会社で、街中でよくトラックを見かけたり、美術品の輸送など専門性の高い運送も得意にしております。日本通運は2016年4月に名鉄運輸と資本提携しました。

日本通運は名鉄運輸全体の20%の株式を名鉄運輸の親会社である名古屋鉄道やその他親会社から取得しました。

このM&Aは同業他社として敵対的に行われたものではなく、上にあげた人手不足などの対策に両社間で提携拡大を目指して行われたものであります。

これにより、物流施設の共同利用や、トラックに共同積載することにより、効率を向上を目指しおり、国内事業での協業のためのM&Aをした例になります。

・M&A事例その38「日立物流」(買収)と「オリエント・ロジ/タカノ物流サービス」(売却)
日立物流は2005年以降、資生堂物流サービス、オリエント・ロジ、タカノ物流サービスなどを買収、2013年3月には日立電線の小会社である日立電線ロジテックを傘下に収めました。

これによって、さまざまな業界の物流ノウハウや付加機能の獲得に成功しました。

事例の紹介は以上です。
現在運送会社を経営されていて、M&Aに関心のある方は以下のボタンよりお気軽にお問合せ下さい。

運送業界で積極的にM&Aをしている大手企業

運送業界では複数の大手企業が積極的にM&Aを実施しています。そこでこちらでは、積極的にM&Aをおこなっている企業を紹介します。

・日立物流
・ヤマト運輸
・SBSホールディングス
・センコーグループホールディングス
・日本郵政
・三菱商事
・NIPPON EXPRESSホールディングス
・ハマキョウレックス
・三井倉庫ホールディングス
・山九
・トナミ運輸

中でもセンコーグループホールディングスとSBSホールディングスはM&Aの動きが顕著です。

前者は2007年から2020年までの13年の間に17件のM&Aを、後者は2004年から2014年までの10年の間に20件以上のM&Aを成功させました。

運送業界はいま、ドライバー不足や2024年問題など、多くの課題を抱えています。

それらの課題を解決するには相応のコストが必要であり、資本力の弱い中小企業には少々ハードルが高いと言えます。

そのため、物流のノウハウやネットワークはあるが経営が立ち行かない中小企業が、大手物流企業に買収される状況はこの先もまだ続く可能性があるでしょう。

関連記事:倉庫業とは?運送業との違いや資格を解説します

運送業界のM&Aの相場と費用

この節では、運送業界のM&Aにかかる費用を確認していきます。

運送業界M&Aの相場

運送業界のM&Aは業界に関係なく、M&Aのケース毎に相場が変わってきます。

目安としては、

M&Aの相場(買収価格)=純資産(時価)+営業利益の35年分(のれん分)

となります。のれん分は基本的には3-5年分の費用が一般的な目安になっております。また、将来経営が伸びそうな企業などに対しては、上記と異なる「マーケットアプローチ」や「インカムアプローチ」などといった、別の手法で計算しM&Aする場合もあります。

運送業界M&Aの費用

M&Aの費用は基本的にはM&Aの専門家に依頼します。

ただし、専門家も様々な請求をしてくるところがあり、着手金や中間費用を求めてくるところもあります。着手金は中間費用はM&Aの成立可否にかかわらずかかってくるところが多いので、内容と金額を確認する必要があります。

実際にM&Aをする場合の相場の一例を示してみました。

手数料名 相場 備考
相談料 5,000円~10,000円 正式な依頼をする前にM&Aについての相談をするための手数料
着手金 50万円~200万円 M&A仲介会社に業務の依頼をするために支払う手数料
中間金 50万円~200万円 M&Aの基本合意契約を締結したときに支払う手数料
成功報酬 売却費用に左右される M&Aが成立して最終契約を結んだ後に支払う手数料
リテイナーフィー 30万円~200万円/月 M&A仲介会社に毎月支払う月額の手数料
デューデリジェンス費用 10万円~200万円 M&Aをするにあたって行う財務調査費用
業務実行にかかる実費 実費 出張費や弁護士相談費用など、業務実行にかかる費用

着手金や中間費用を全くとらず、成功報酬のみを求める会社もありますが、M&Aは大きな買い物ですので、しっかりと自分の要求が通りやすかったり、詳しそうな業者に依頼すると良いでしょう。

関連記事:トラック運転手の仕事はなくなる?運送業界の将来性を徹底解説

運送業界のM&Aの流れ

M&Aは仲介会社を通しておこなわれるのが一般的です。そこでこちらでは、運送業界のM&Aの流れについて、

・問い合わせ・相談
・仲介契約
・代表同士の面談
・基本合意
・買収監査
・最終契約

以上の順番で紹介します。

問い合わせ・相談

まずはM&Aによる売却や譲渡を検討している経営者と仲介会社の担当者で面談がおこなわれます。

経営者側はM&Aの概要を知ることができ、担当者と共に現実的な選択肢を検討します。

仲介契約

仲介会社にM&Aの業務を受託するために仲介契約を結びます。

この際、仲介会社によって着手金が発生する場合としない場合とがあり、相場は50万円〜200万円と言われています。

なお、着手金の主な用途は、企業概要書や企業評価に関連する資料の作成費用、買い手の選定費用、M&Aに関する助言などです。

買い手候補が現れた際、初期段階では会社名を伏せた状態で紹介されます。

そして、買い手から前向きな意思表示があった場合に限り、秘密保持契約を結んだ上で企業概要書を開示するのが一般的です。

代表同士の面談

買い手候補が決まると、次に売り手と買い手の経営者同士で面談がおこなわれます。

注意点として、こちらの面談は条件交渉をする場ではありません。

互いの条件や意向は事前に共有されているため、M&Aをする上で相手の経営者がどのような人物か、どのような思いで企業を経営したきたのかなど、企業理念や組織風土を確認するための場です。

基本合意

基本合意とは仮契約のようなものです。売り手と買い手が共にM&Aを完了させる意思があることを約束するために結ばれます。

買い手からすれば、基本合意を結んでおけば独占交渉権を得られるため、1つの安心材料となります。

また、基本合意書に明記される主な項目は以下の通りです。

・譲渡方法
・譲渡時期
・譲渡金額
・独占交渉権
・従業員や役員の処遇
・秘密保持
・買収監査への協力について
・契約解除条件
・仮契約有効期限

買収監査

買収監査とは、M&Aをおこなう上で買取対象である企業の財務内容の正確性や保有資産の有無などを調査することです。
買い手となる企業から公認会計士等が派遣され、秘密裏に財務監査や税務監査がおこなわれます。

中小企業の場合は、2〜3名の公認会計士等が数日かけて調査するのが一般的です。
買収監査によって新事実が発覚した場合、譲渡条件が変更されたり、破談になったりすることがあります。

最終契約

買収監査が完了したら最終契約を締結し、事業または株式の譲渡をおこないます。具体的な流れは以下の通りです。

・最終契約の締結
・株券やその他重要書類などの確認
・代金の振込
・振込確認
・株券やその他重要書類などの引き渡し
・挨拶・調印式

以上が運送業界のM&Aの流れになります。

現在運送会社を経営されていて、M&Aに関心のある方は以下のボタンよりお気軽にお問合せ下さい。

運送業界でM&Aをおこなうメリット

ここからは運送業界のM&Aのメリットについて、売却側のメリットと買収側のメリットについて解説します。

売却側のメリット

まず、売却側のメリットについて、5つほど解説します。

大手グループへの参入

まず、初めに大手グループへの参入の可能性についてです。M&Aの買収側が大手グループだった場合、買収されると大手グループの一員になることができ、労働規則やファシリティー、基準が大手と同程度になる可能性があります。

後継者問題の解消

次に後継者問題の解消に繋がります。中小企業ですと、後継者を探すのにとても大変な思いをしているかと思います。すぐ見つかれば良いですが、なかなか見つからない可能性もあります。

しかし、大手グループにM&Aされれば、仮に後継者がいない場合にはグループ内から人が出向してくる可能性もありますので、後継者を探す必要がなくなるかもしれません。

豊富な資金獲得

M&Aされると会社を売却する事になるので、大きな資金を獲得できます。また、それ以外にも財政難になっても買収先から資金の注入もできるので、今までと違いあまり資金の事を考えずに経営できるかもしれません。

債務解消

会社が債務超過していた場合にM&Aをされると、得た資金で債務を解消できるかもしれません。仮にそれでも資金が足りない場合でも債務解消のための資金を買収先が出してくれるため債務を解消できる可能性があります。

ドライバーや従業員の雇用先確保

会社の資金が足りなく、リストラに迫ってる場合や、資金繰りが良くなく倒産するかもしれない時であっても、M&Aされてグループの一員になれば、従業員を他社に雇ってもらあるかもしれません。

社長にとって、倒産により従業員の雇い先がなくなる事は倒産による悩みのひとつかもしれません。

そんな場合でも、グループの一員であれば、独立していた時よりも他社に従業員を雇ってもらえる可能性があがります。これも大きいM&Aメリットになりえます。

買収側のメリット

先ほどまでは売却側のメリットについて解説しましたが、今度はM&Aによる買収側のメリットを説明します。

事業規模の拡大

企業を買収することによって事業の規模を拡大することができます。

買収した会社の営業拠点やトラックを自社のものにできるため、営業の幅が広がります。

そのためより効率的な配送網も構築することや、買収した会社のノウハウと自社のノウハウを組み合わせて新しい事業を始めることもできます。

さらには、トラックの台数も増えますので、管理は少し大変になりますがより多くの運行できるトラックがありますので、売上の増加にもつながります。

資源獲得

先にも少し説明しましたが、M&Aにより新しい配送拠点や営業拠点、さらにはトラックや、それに付随する資源を獲得することができます。

資源を獲得することにより、自社の配送網拡大や、事業規模の拡大にもつながります。

ドライバーの確保

資源の獲得とともに基本的には従業員も獲得することができるので、事業規模の拡大に伴うドライバー不足も心配いらないです。

ただし、買収した会社が元からドライバーが少なかった場合は母数が増えるだけで、トラックとドライバーの比率は変わらないので、新たに雇う必要があるでしょう。

ノウハウ獲得

こちらも事業規模拡大の部分で話が出てきましたが、他社のノウハウも吸収できるため、運行効率の最適化や、新しい事業への参入など様々なことが見込めます。

そのため、M&Aをする際には買収しようとしている企業のノウハウも注意して見ておく必要があるでしょう。

グローバルな経営展開

M&Aで企業を買収することにより、グローバルな経営展開をできるかもしれません。

M&Aの事例のところで日本郵政グループの事例を出しましたが、海外の運送業者を買収することにより、自社のグローバル化を一気に展開できます。

通常ですと海外に会社を設立すると、一から始めなくてはいけないので、人材を集めたり営業免許取得、事業拠点の設立など、様々なハードルがありますが企業を買収するとその点をスキップすることができるのでM&Aをすることによってグローバル進出するハードルが下がります。

関連記事:2024年問題がドライバーに与える影響と物流業界の今後を解説

運送業界でM&Aをおこなうデメリット

こちらでは、運送業界でM&Aをおこなうデメリットを売却側と買収側とに分けて解説します。

売却側のデメリット

①取引先や顧客に反対される可能性がある

経営権が買い手に移行した後、提供するサービスの料金設定や取引先との契約条件等が変わる場合があります。

そういった展開を危惧し、取引先や顧客がM&Aに反対する可能性があるでしょう。

そのため、事前に料金設定や契約条件等を変更しない旨を共有するなどして、不要なトラブルの防止に努める必要があります。

②希望通りの売却ができない可能性がある

M&Aでは理想の買い手が現れず、希望通りの売却ができない可能性があります。

条件を下方修正しても買い手が現れない場合、売却を断念せざるを得ないケースもあるでしょう。

また、運良く買い手候補が現れたとしても、条件の変更を求められる可能性もあります。

タイムリミットがあると足元を見られる可能性があるため、余裕を持ったスケジュールでM&Aに臨むことをオススメします。

③20年間同様の事業をおこなえない可能性がある

M&Aでは「競業避止義務」というルールが適用されることがあります。

M&Aにおける競業避止義務とは、譲渡した事業に関して、買い手側に不利益を与えるような競合の事業をおこなってはならないとするものです。

なお、競業避止義務については会社法21条で、以下のように規定されています。

事業を譲渡した会社(以下この章において「譲渡会社」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項 の指定都市にあっては、区又は総合区。以下この項において同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から20年間は、同一の事業を行ってはならない。

このように、M&Aによって会社を手放した売り手は、20年間同様の事業をおこなえない可能性があります。

M&Aの後に新しい事業の立ち上げを検討している場合は、競業避止義務の有無やその内容を念入りに確認しておきましょう。

参照:会社法(e-Gov検索)

買取側のデメリット

①債務を承継する可能性がある
買い手にとって大きなデメリットの1つが、債務を継承する可能性がある点です。特に注意したいのが「簿外債務」です。

簿外債務とは、賃借対照表に記載されていない未払い賃金や債務補償などを指します。

同様に、将来債務になる可能性がある「偶発債務」にも注意する必要があります。

株式譲渡の場合、これらの債務もまとめて引き継ぐことになるため、買い手は将来的に巨額の損失を被るリスクがあるのです。

このリスクを回避するには、株式譲渡ではなく事業譲渡で買収することをオススメします。
事業譲渡であれば、債務を承継することなく買収のメリットを享受できます。

②のれん代を回収できない可能性がある

M&Aにおいて、のれん代とは売り手企業の純資産と、実際の買収額の差額を指します。

のれん代は、ブランド力やネームバリューなどの無形資産が持つ価値によって差額は変動します。

M&Aが完了した後、経営が好調であればのれん代を回収できますが、事業が軌道に乗らなかった場合はのれん代を回収できない可能性もあります。

もし回収できなかった場合、のれん代は株式評価損や減損損失として計上され、業績悪化に繋がる可能性があるので注意が必要です。

③優秀な従業員が離職する恐れがある

買収後に優秀な従業員が離職することは、買い手にとって大きなリスクです。

「労働条件が合わなくなった」「企業理念に共感できない」などの理由で、元々いた従業員が離職する可能性は十分にあります。

そのため、買取側は優秀な人材が流出しないように、事前に労働環境や待遇面の整備・改善を検討する必要があるでしょう。

関連記事:2024年問題で物流業界は何が変わるのか?対策事例も紹介

運送業界でM&Aをおこなう際の注意点

こちらでは運送業界でM&Aをおこなう際の注意点を2つ紹介します。

運送業許可の引き継ぎが必要である

運送業界のM&Aにおいて、他の業界と大きく異なる点の1つが運送業許可の引き継ぎが必要である点です。
貨物自動車運送事業法第30条によると、国土交通大臣の認可がなければ、
運送事業の譲渡および譲受の効力は生じないことになっています。

なお、認可の申請をするには、国土交通省へ「事業の譲渡譲受認可申請書」を提出する必要があります。
貨物自動車運送事業法施行規則第17条によると、申請書に記載が必要な情報は以下の通りです。

・譲渡人および譲受人の氏名あるいは名称
・譲渡人の住所(法人は代表者氏名)
・譲渡価格
・譲渡予定日
・譲渡が必要である理由

また、申請書に添付が必要な書類は以下の通りです。

・事業譲渡契約書の写し
・事業譲渡価格の明細書
・定款や貸借対照表、資産目録などの資料

許可の引き継ぎには要件を満たす必要がある

運送業許可の引き継ぎは、申請をすれば無条件に実現するわけではありません。
許可の引き継ぎには、「運送事業に必要な資金の確保」や「運行管理者・整備管理者・運転者の確保」など、
買取側が一定の要件を満たしている必要があります。

なお、要件は貨物自動車運送事業法第5条・第6条で規定されていますので、詳しくはe-GOV法令検索サイトを参照して下さい。

参照:貨物自動車運送事業法(e-GOV法令検索)

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運送業界のM&Aをおこなう際の成功ポイント

この説では、運送業界のM&Aをおこなう際の4つの成功ポイントについて解説していきます。

タイミングが重要

M&Aをするにはタイミングが重要です。運送業界に限った事ではありませんが、業界全体や国内の情勢によって需要は変わりますし、必要な資金も変わっていきます。

また、今後の需要を見込んでM&Aをおこなっても、その後自社の業績が下がったり、業界全体の需要が落ち込んでしまうと、M&Aをした意味がなくなってしまいます。

そのため、M&Aはタイミングがまず重要なファクターとなります。

シナジー効果を最大限に活かす

M&Aによって様々なシナジー効果を生み出すことができます。

まず、買収することにより、売り上げがプラスされます。それに加えて、拠点の増加、買収先のノウハウの吸収をして、自社に応用させることができるなど、様々なシナジー効果を期待できるでしょう。

さらに、運送業界の場合、M&Aをすることで拠点を増やし、営業範囲を拡大することが可能です。

また運行台数の増加により、より効率的な配送網の構築できるなど、様々なシナジー効果が生まれるでしょう。

税金対策

M&Aをすることにより、多くの税金が発生します。ただし、M&Aの仕方によって発生する税金も変わってくるので、注意が必要です。

M&Aの仕方としては、大まかに3つあり、株式譲渡、事業譲渡、そして第三者割当増資があります。

株式譲渡の場合 株式の譲渡所得と30-40%の法人税
事業譲渡の場合 事業の譲渡所得と30-40%の法人税+課税対象分の譲渡所得分の消費税
第三者割当増資 贈与税に関係しますが、基本的には法人税等は関係ありません。

上記のようにM&Aの方法によって買収できる範囲や、課税範囲が変わります。

個々の案件ごとに一番良い節税対策等は異なりますので、M&Aをおこなう際は仲介業者に相談してみましょう。

相場・費用の把握

M&Aをするにあたり、仲介費用や譲渡価格の相場を把握しておくことは重要です。

必要な費用や相場を把握していないと、相場に見合わない提示額を示す事により、M&Aの成功する確率が下がる可能性があります。

まず仲介費用の相場は、着手金が50万円〜200万円です。さらに成功報酬として譲渡価格の10%〜20%が発生すると言われています。

また、譲渡価格の相場を知るには、「修正純資産法」「DCF法」「類似会社比凖法」など、さまざまな算出方法があります。実際には様々な要素によって価格が変動するため、こちらでは詳しい説明は省略します。

関連記事:【取材レポート】運送会社経営者、必見!自社の生き残りを賭けるM&Aという選択肢

まとめ 

今回、運送業界のM&Aについて、事例やメリット・デメリット、注意点などについて解説しました。

運送業界は現在、燃料費の上昇や、ドライバーの減少などにより多くの企業が廃業に至っている中、生き残る道としてM&Aも多数行われ、統廃合されています。

思い入れのある会社を手放すのはデメリットもありますが、大手グループに参入できるチャンスでもあろ後継者探しが必要無くなったりドライバー不足を解消できたりといったメリットも多数あります。

現在運送会社を経営されていて、今後の経営に不安がある方はM&Aを検討するのも1つの手かもしれません。

M&Aに関心のある運送会社の経営者は、以下のボタンよりお気軽にお問合せ下さい。

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