ドライバーの仕事

白ナンバートラックと緑ナンバーはどう違う?違法性の有無も解説

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日本を走るトラックには白ナンバーと緑ナンバーとがあります。

そこで今回は、白ナンバートラックとは何なのか、緑ナンバートラックとどう違うのか、運搬できる物、税金、給与の項目に分けて解説します。

また、白ナンバートラックの違法性の有無や、緑ナンバーを取得するメリット・デメリット、緑ナンバーを取得する方法についても解説しますので、運送業で独立を検討している方や運送会社で働く管理職の方は参考にして下さい。

白ナンバートラックとは

白ナンバートラックとは、自家用トラックのことを指します。主に自社の荷物を運ぶ際に使われます。

一般貨物自動車運送事業の許可または特定貨物自動車運送事業の許可を得る必要がないため、ナンバープレートが白であるのが特徴です。

白ナンバートラックは運送事業の許可を得ていないため、他社の商品の運送や送迎など、事業用に用いて運送料を取ることは違法行為に該当します。

もしも白ナンバートラックを用いて事業をおこない、何らかの利益を得た場合、1年から3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が課せられます。

参照:貨物自動車運送事業法3条1項35条1項(e-GOV法令検索)

緑ナンバートラックとの違い

運送事業の許可が不要だる白ナンバートラックに対して、運送事業の許可を得ているトラックを緑ナンバートラックと言います。

そこでこちらでは白ナンバートラックと緑ナンバートラックの違いを3つ紹介します。

運搬できる物の違い

1つ目の違いは「運搬できる物」です。

例えば、飲料メーカーが自社製品を運搬するために自社のトラックを使う場合は、白ナンバートラックでも問題ありません。

しかし、他社の商品を運搬したり、人を送迎したりする場合や、運賃を利益とする場合は緑ナンバートラックを使わなければなりません。

税金の違い

2つ目の違いは「税金」です。

毎年納税が必要な「自動車税」と、車両を購入する際にかかる「自動車重量税」の金額が異なります。具体的な違いは以下の通りです。

【自動車税の違い】

最大積載量2トン 白ナンバートラック 11,500円
  緑ナンバートラック 9,000円
最大積載量4トン 白ナンバートラック 20,500円
  緑ナンバートラック 15,000円
最大積載量8トン 白ナンバートラック 40,500円
  緑ナンバートラック 29,500円

このように自動車税は、どの積載量においても、総じて緑ナンバートラックの方が安いです。

参照:自動車税(国土交通省)

【自動車重量税の違い】

車両総重量5トン 白ナンバートラック 20,500円
  緑ナンバートラック 13,000円
車両総重量8トン 白ナンバートラック 32,500円
  緑ナンバートラック 20,800円
車両総重量20トン 白ナンバートラック 82,500円
  緑ナンバートラック 52,500円

自動車重量税に関しても、総じて緑ナンバートラックの方が金額が安いです。

ただし、継続車検を受けるケースや、減税対象となるエコカーに該当するケースなどは、多少金額が変わります。詳しくは国土交通省のサイトを参照して下さい。

参照:自動車重量税額について(国土交通省)

給与の違い

3つ目の違いは「給与」です。白ナンバートラックと緑ナンバートラックとでは、売上が発生する仕組みが異なります。

例えば、白ナンバートラックは自社の商品を運搬するため、自社の商品が売れることで売上が発生します。

一方で、緑ナンバートラックは主に他社の商品を運搬するので、運賃が売上です。

このように、業務内容はどちらも同じ「運転」ですが、給料の出どころが大きく異なります。

緑ナンバートラックのドライバーは、給料の出どころが運賃である以上、荷主との関係・物流業界の動向と自身の待遇が連動せざるを得ません。

一方で白ナンバートラックを運転するドライバーの給料は、出どころが運賃ではないため、物流業界の動向に左右されにくいです。

メーカー勤めの白ナンバートラックのドライバーであれば、ある程度の待遇が保証されているので、給与が安定しやすいと言えるでしょう。

関連記事:タクシーのナンバープレートの種類!バスに使われるひらがなについても紹介

白ナンバートラックが活躍する業界とは?

運送事業の許可がない白ナンバートラックが活躍する業界は少ないと思われがちですが、実際は多くの業界で活躍しています。そこでこちらでは5つの業界を紹介します。

農業・林業

農業や林業に従事している方々が自ら運転手になり、自分達で作った作物や伐採した木材を運ぶ際に、白ナンバートラックが使用されます。

運転専門の求人は少なく、現場での作業を主に、運転業務も兼務するような勤務形態が一般的です。

建設業

建設業での活躍している白ナンバートラックと言えば、主に大型のダンプカーです。

大型ダンプカーには土砂や砕石を運んで運賃で売上を立てる会社もありますが、中には運んだものを販売することで利益を上げる会社もあります。

大規模な建設や工事があるときは非常に忙しい仕事です。日給が高いため給料も高くなりやすいですが、仕事が無い時は遠方まで出稼ぎ行くなど、不安定な仕事でもあります。

しかし、給料が良いことから白ナンバーダンプの運転手は人気の仕事であり、求人数も多いです。

製造業

製造業における白ナンバートラックの主な業務は、生産工場から自社、顧客、倉庫、加工会社、直営の販売店舗へと商品を運搬する、運賃が発生しない配送です。

生産現場と配送を兼務する場合もありますが、生産量が多い場合は配送専門の業務内容になるでしょう。

その場合でも給与面は製造ラインの従業員と同程度であることが多いため、比較的待遇も良く、将来的には管理職を目指すことも可能です。

ただドライバーとしての求人は不足が生じた際の突発的な募集となるので、希望する方は求人をこまめにチェックする必要があります。

食品加工業

一言に食品加工業といっても、惣菜・菓子製造や乳製品・水産物の加工など、ジャンルは多岐に渡ります。

食品加工業において白ナンバートラックの使用率は高いです。そのため、運転に携わっている人は多いですが、専属のドライバーとして雇用されているかは企業によって異なります。

大規模な生産現場の場合は、専属の白ナンバートラックドライバーとしてのチャンスもあるでしょう。

専属でない場合、生産現場に携わりながら配送時間になるとドライバーとして勤務したり、事務や営業職をしながら生産現場に商品を取りに行ったりと、複数の職種を股にかけて仕事ができる業界です。

食品加工業では主に小型~中型のトラックを使用することが多く、大型トラックの運転技術に自信がない方でも安心して働ける点が魅力です。

廃棄物収集運搬業

産廃物収集運搬業は、ゴミを収集・運搬して処理する仕事です。

使用される白ナンバートラックは主に平ボディ車のトラックか、ゴミ収集車でよく見られるパッカー車です。全長が長くない小型~中型のトラックであるため、初心者でも安心して運転できます。

他の職種の白ナンバートラックのドライバーは運搬が主な仕事であることに比べて、産廃物収集処理業では収集と処理を兼務する場合が多いです。

こちらの仕事の長所は安定性が高いことです。行政から委託されている会社や場合によっては公務員として従事することもあり、安心して長期的に働けます。

また給与面も比較的待遇がよく、ゴミがなくなることは無いので仕事もなくなる心配もありません。

デメリットを挙げるとすれば、年間の休日日数が少なめである点です。

社会貢献度が高く、真面目で使命感のある方にオススメの仕事と言えます。

白ナンバートラックの違法性について

白ナンバートラックの違法性について議論されることは少なくありません。

そこでこちらでは、白ナンバートラックの違法性の有無について解説します。

白ナンバートラックに違法性はない

まず、白ナンバートラックの存在自体に違法性はありません。

食品メーカーや飲料メーカーのように、自家用にトラックを購入し、自社の商品を運搬する行為は認められています。

ただし、他社の商品を運搬したり、人の送迎をして運賃を取る営業行為は違法行為に当たります。それらの営業行為をする場合は緑ナンバーの取り付けが義務です。

なお、自家用車とそれ以外の車両の違いは以下となります。

  用途
自家用車  自分または自社の荷物を運搬する
事業用車 他社の荷物や人を運搬・送迎して運賃を受け取る
商用車 運ぶ対象を問わず、営業や出張などに要する

白ナンバートラックでの違法行為

白ナンバートラックを用いて以下の行為をはたらいた場合は違法となります。

・違法行為その1「他社の商品を運搬して利益を得る」
他社の荷物を運搬して利益を得る行為は「有償運送」に該当します。

有償運送は緑ナンバーに認められる行為であり、白ナンバートラックには禁止されています。

・違法行為その2「自社の荷物を他社の白ナンバートラックに運搬してもらう」
廃棄物処理業者の所有する白ナンバートラックが、自社の廃棄物を運搬することは有償運送ではないため、違法ではありません。

しかし、自社の廃棄物等の運搬を、白ナンバートラックを所有する業者に有償で依頼した場合は違法となります。

白ナンバートラックで違法行為をした際の罰則

白ナンバートラックで違法行為をした場合、どのような罰則があるのか、輸送者側と荷主側とに分けて解説します。

・輸送者側の罰則
白ナンバートラックには、一般貨物自動車運送業または特定貨物自動車運送事業の許可がありません。

そのため、白ナンバートラックを用いて運賃を得る運搬をおこなった場合、貨物自動車運送事業法第3条1項・第35条1項の違反対象となり、罰則が科せられます。

罰則の内容は「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」です。

さらに、輸送者側の過失により交通事故を起こし、懲役刑になった場合、懲役終了から2年経過しないと新規許可の申請ができません。

・荷主側の罰則
現状、白ナンバートラックに仕事の依頼をした荷主に対する罰則はありません。

違法行為をおこなった場合、罰則を課せられるのは輸送者側のみです。

法的なリスクは回避しやすいですが、違法行為に関与した事実が公になれば、荷主側の評判が下がる可能性はあるでしょう。

例外的に違法行為に至らないケース

例外的に、白ナンバートラックを用いて運賃が発生する運搬をおこなっても、違法行為に至らないケースがあります。

例外とされているのは、引越し業者が車両不足を補うために、白ナンバートラックをレンタルすることです。

引越し業者は3月〜4月が特に忙しく、トラックが足りなくなることがあります。

その場合、運輸局に事前に届出をすることで、一時的に白ナンバートラックによる運搬が認められています。

白ナンバートラックの将来性

有償運送をおこなう緑ナンバーの事業者は、元々貨物自動車運送事業法によって、厳しい飲酒検査が義務付けられています。

トラックを運転するドライバーに対して毎回アルコール検知器を用いた検査をしたり、点呼をしたりします。

運行管理者が点呼を実施しなければ、それだけで車両の使用を禁じるなどの罰則があるほど厳しい規則です。

一方で、白ナンバーの事業者に関しては、最低限の飲酒状況の確認が要求されているものの、
具体的な検査方法やルールは規定されていませんでした。

しかし、昨今白ナンバートラックを運転するドライバーが飲酒運転によって悲惨な事故を起こした事実を受け、道路交通法が改正され、白ナンバーを運転するドライバーも飲酒検査を受けることが義務となりました。

また、検査内容は記録した日から1年間保続する必要があります。

このように、従来は緑ナンバートラックと比べて規制が緩かった白ナンバートラックですが、今後は緑ナンバーと同等に規制が強化されていく可能性があるでしょう。

関連記事:トラック運転手の飲酒に関するルールや罰則を徹底解説

緑ナンバーを取得するメリット・デメリット

物を運んで運賃を稼ぐ運送事業をおこなうためには、緑ナンバーを取得する必要があります。

しかし、緑ナンバーを取得することは決して容易ではなく、デメリットが存在するのも事実です。

そこで、こちらでは緑ナンバーを取得するメリットとデメリットを紹介します。

メリット

緑ナンバートラックに乗るメリットの1つは、社会的信用があることを示せる点です。

金融機関から融資を受けてトラックを購入する際、緑ナンバーの許可証を提示するよう求められます。

許可証があることは、きちんと認可を受けた運送業者であることの証拠ですので、社会的信用の高さを示すことが可能です。

もう1つのメリットは、福利厚生の面で従業員に安心を与えられることです。

緑ナンバートラックのドライバーは、社会保険に加入する義務があるため、従業員は安心して働くことができます。

デメリット

まず、白ナンバーと比べて自動車保険の保険料が1.5倍〜2倍ほどします。

そもそも緑ナンバーの保険を受け付けてくれる保険会社自体があまり多くない点もデメリットです。

比較的保険料が安いと言われネット自動車保険の中には、緑ナンバーを受け付けていない会社も多いです。

また、緑ナンバーを取得するためには、書類の準備や費用が発生する他、運送業を営む者が試験に合格する必要があるなど、手間がかかります。

さらに、日報や対面点呼、車両日常点検等の帳票記録・管理などの作業も発生します。社会的信用が高い緑ナンバーを取得するには、これらのデメリットを容認しなければなりません。

従来は、緑ナンバーへの監査対策のため、これらの管理業務を手作業でおこなう運送会社が多かったですが、近年はデジタル化に踏み切る業者も増えつつあります。

例えば、弊社が提供する『ロジポケ』は、面倒な帳票管理や情報管理から、請求書管理、ドライバーの安全教育に至るまで、全て1つのシステムで完結できます。

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緑ナンバーを取得するには?

最後にどうすれば緑ナンバーを取得できるのか、一般貨物自動車運送事業許可を申請する流れを解説します。

取得の流れとしては、まず貨物自動車運送事業法などの法令条件を満たした上で、緑ナンバー営業を行うための事業計画などを記入した申請書類を作成します。

ハードルの高い条件の1つが、事業開始に必要な資金があることです。

従業員の給与や自動車保険や税金など全てを支払った上で、運用する資金があることを証明する必要があります。必要な資金は事業の規模によって全く異なりますが、およそ2,000万円前後です。

資格関係においても条件があり、「運行管理者資格」を保有する人が社内に必ず一人は必要です。

また事業用トラックは、登録台数が最低でも5台以上でなければいけません。

ただし、必ずトラックである必要はなく、ハイエースなどの小型貨物車も含めることができます。

次に必要なのが事務所や休憩施設の設置であり、たとえ事業に必要ではないという場合においても、
必ず事務所とは別に休憩室を確保しなければなりません。

また、車両を止められる駐車場も必要です。登録する台数分をゆとりを持って止めれる広さであり、かつ営業所までの直線距離が10km以内であることが条件となります。

このような条件を満たした上で、書類を作成し許可が降りれば、緑ナンバーを取得できます。

関連記事:運送業を始めるには許可が必要です!取得方法や条件、流れを細かく紹介しています

まとめ

繰り返しお伝えしてきたように、白ナンバートラックそのものに違法性はなく、緑ナンバートラックと比べて出来る業務が限られていることがポイントです。具体的には、

・白ナンバートラックは基本的に自社の商品等の運搬しか認められておらず、また運搬によって運賃を得る有償運送も許されていない

・有償運送をおこなうには、一般貨物自動車運送事業許可を申請し、緑ナンバーを取得する必要がある

運送業で独立を検討している方や運送会社で働く管理職の方は、こちらの2点を押さえておくといいでしょう。

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